インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

3人の男の友情と恋の行方/アーミル・カーン主演作『Dil Chahta Hai』

■Dil Chahta Hai (監督:ファルハーン・アクタル 2001年インド映画)


男3人の友情と、それぞれの恋の行方を描き2001年にインドで公開された群像劇である。主演となる3人をアーミル・カーン、サイーフ・アリー・カーン、アクシャイ・カンナーが演じ、ヒロインとしてプリティー・ズィンターが出演している。監督は『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』(2011)『DON ドン 過去を消された男』(2006)のファルハーン・アクタル。また、アクタル監督は映画『ミルカ』(2013)で主演を演じ、その引き締まった体を見せている。アクタル監督の妹ゾーヤー・アクタルは『Zindagi Na Milegi Dobara』(2011)を撮っているが、男3人のスペイン旅行を描くこの作品、なんとなく今作『Dil Chahta Hai』と雰囲気が似ていなくもない。

物語は大きなテーマがあるというのでもなく、主演3人の友情とその決別、彼らのちょっとイタイ、ないしは困難な恋の結末が交互に語られてゆく形になっている。ただ、この作品には大きな特色があり、それは徹底してインド的な雰囲気を廃した現代的で都会的な人間ドラマとして制作されているという部分だ。正直インド映画でなくてもいいぐらいの物語ではあるが、友情が中心となって語られること、結婚を巡って物語が収束してゆくということ、この部分ではインド映画らしいとも言える。どちらにしろ普遍的な、悪く言うならよくあるようなこじんまりとした物語であり、正直に言うと個人的にはかなり退屈した。ただしインド的なインド映画を常日頃浴びるように観ている現地のインド人には好評だったようで、売り上げでは公開年のベスト5になっているのだという。

一応俳優のことに触れると、アーミル・カーンはどこか冷笑的で素っ頓狂な男として登場し、観ていて共感できる部分が無かった、こんな男がクライマックスに向けて真実の愛とやらに目覚め神妙な顔をされてもちょっと困る。ヒロイン役のプリティー・ズィンターは結婚相手がいるにもかかわらず気を持たせ過ぎで、これには最後に理由が明かされるものの、観ている間は「どうしたいんだ?」と思ってしまった。サイーフ・アリー・カーンはハンサムなプレイ・ボーイとして登場するが、友達思いでありあちこちに気を遣う男を演じた。さてアクシャイ・カンナーは年上の女性に恋をしてしまう、というドラマチックな役だったが、ええとあの、20代の設定にしてはちょっと頭が薄すぎて、そっちばかり気になってしまい彼の年齢を超えた恋の行方のほうは特にどうという感慨も抱けなかった。しかしこのアクシャイ・カンナー、最近の作品での写真を見たら、髪の毛が増えてる…。

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