インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

俺はバンジョー弾きのストリート・ミュージシャンだぜ!〜映画『Banjo』

■Banjo(監督:ラヴィ・ヤーダヴ 2016年インド映画) タンジョー!それはオギャーオギャー! カンジョー!それは喜怒哀楽! サンジョー!それはスーパーヒーロー! エンジョー!それはネット記事! いや違うそうじゃない! インド映画『Banjo』はストリート…

腐った政治は俺が正す!〜シャンカール監督映画『Nayak: The Real Hero』

■Nayak: The Real Hero(監督:シャンカール 2001年インド映画) 『インドの仕置人』(1996)、『ジーンズ 世界は2人のために』(1998)とシャンカールの映画を観てきたが、「他にシャンカール映画で観ることができる作品はあるのかなあ?」と思ったのである。日…

分かち難き半身〜映画『ジーンズ 世界は2人のために』

■ジーンズ 世界は2人のために (監督:シャンカール 1998年インド/アメリカ映画) 先日観た『インドの仕置人』が実に面白かったので、同じシャンカール監督作品『ジーンズ 世界は2人のために』を観てみることにしました。この作品は2000年に日本公開されてい…

様々な形で張り巡らされたアンビバレンスの物語〜映画『インドの仕置人』

■インドの仕置人 (監督:シャンカール 1996年インド映画) のさばる悪を何とする!天の裁きは待ってはおれぬ! この世の正義もあてにはならぬ!闇に裁いて仕置する! わしはインドの仕置人!! ■『ロボット』監督シャンカールの放つ異色作 タイトルだけで既…

インドの「AKIRA」が覚醒する!?〜映画『Akira』

■Akira (監督:A・R・ムルガードース 2016年インド映画) ■女ダバング・ソーナークシー・シンハー!? 西暦20XX年。オリンピック開催の為再開発の行われていたネオ・ニューデリーを巨大な光球が覆う。圧倒的な破壊力を秘めたその光球の中でネオ・ニューデリ…

性被害に遭いながら罪に問われた女性たちを救え〜映画『Pink』

■Pink (監督:アニルッダー・ローイ・チョウドゥリー 2016年インド映画) この作品『Pink』は性被害に遭った女性たちを巡る裁判を描いた作品なのらしい。う〜ん、これは重そうだ。しかも主演がアミターブ・バッチャンで、彼が弁護士となるのだろうがポスタ…

故殺か?正当防衛か?海軍将校による殺人事件裁判〜映画『Rustom』

■Rustom (監督:ティヌー・スレーシュ・デーサーイー 2016年インド映画) 1950年代のボンベイを舞台に、一人の海軍将校が起こした殺人事件を巡る裁判を描いたのがこの『Rustom』となる。公開時結構話題にもなったしボックスオフィスの成績も悪く無い。ただ…

気付いたらそこはパキスタン!?〜映画『Happy Bhag Jayegi』

■Happy Bhag Jayegi (監督:ムダッサル・アズィズ 2016年インド映画) 結婚式を逃げ出してきたインドの女性が、気が付いてみたらパキスタンにいた!?ええ!?どうしたらいいの!?というロマンチック・コメディです。そもそもなんでパキスタンに行っちゃっ…

凸凹刑事コンビの誘拐犯大捜査!〜映画『Dishoom』

■Dishoom (監督:ローヒト・ダーワン 2016年インド映画) 大会中のクリケット選手が誘拐された!それを追う刑事二人!しかしこの二人、水と油のような凸凹コンビでして……というアクション・コメディです。刑事コンビ役に『Dhoom』(2004)、『Housefull 2』(20…

悲痛な過去を持つ男が引き起こした誘拐事件〜映画『Madaari』

■Madaari (監督:ニシカント・カマト 2016年インド映画) 政府要人の息子が誘拐された。犯人の目的はなんなのか?やがてある悲痛な事件が背後にあったことが明るみに出る。2016年にインドで公開された映画『Madaari』は、誘拐事件を通して社会の不正を訴え…

喪われた古代都市モヘンジョダロの姿を描く歴史絵巻〜映画『Mohenjo Daro』

■Mohenjo Daro (監督:アーシュトーシュ・ゴーワリカル 2016年インド映画) モヘンジョダロである。2016年公開のインド映画『Mohenjo Daro』は失われた謎の古代都市モヘンジョダロを舞台にした作品なのである。モヘンジョダロ。紀元前2500年から紀元前1800…

少年少女のロマンスを瑞々しい映像で描きながら恐るべき展開を見せる問題作『Sairat』

■Sairat (監督:ナーグラージ・マンジュレー 2016年インド映画) 良家の娘と貧しい少年とのカーストを超えた恋。2016年に公開されたマラーティー語映画『Sairat』は、インド映画ではお馴染みの美しくもまた辛苦に満ちた恋を、瑞々しく情感に溢れた映像で描…

7時間2分で65キロもの距離を走破した4歳の少年の実話映画『Budhia Singh : Born to Run』

■Budhia Singh : Born to Run (監督:ソーメンドラ・パティー 2016年インド映画) インドに住むたった4歳の少年が世界最年少のマラソンランナーとして記録を打ち立てた。少年の名前はブディヤー・シン。彼は7時間2分で65キロもの距離を走破したのだ。映画『B…

ドラッグによる精神の解放を描くインドのヒッピー映画『M Cream』

■M Cream (監督:アグニア・シン 2016年インド映画) 映画『M Cream』はデリー大学に通う4人の男女が中心となって描かれるインディペンデント系のロード・ムービーだ。作品は2014年にロードアイランド・フィルム・フェスティバル上映後2016年にインドで一般…

インド映画の様々な言語

unsplash-logo Thomas Young インド映画と一口に言っても、なにしろインドは多言語社会であり、国土は広大で人口も多く、微妙に民族も違っていたりします。それにより製作されている映画も言語によって様々です。また、映画の内容もそれぞれに特徴があります…

『マヌ法典―ヒンドゥー教世界の原型』を読んだ

■マヌ法典―ヒンドゥー教世界の原型 / 渡瀬信之 多民族、多言語、多宗教の国インドでは、今日ヒンドゥー教徒が総人口の8割をしめ、かれらは文化、政治、経済に圧倒的な力を及ぼす。ヒンドゥー教は信仰と生活実践を一体化した宗教で、特有の社会制度、法律、倫…

インド好きにもインドを知らない方にもお勧めしたいインド本『インド人の謎』

■インド人の謎 / 拓徹 インド滞在12年――気鋭の研究者が、インドの「謎」を解く!神秘、混沌、群衆……インドにはとかく謎めいたイメージがつきまといます。こうしたイメージは、興味をかき立てるだけでなく、往々にして私たちとインドとの心理的な距離を拡げて…

インドの事をあれこれ勉強してみた (その2)

Photo by Joshuva Daniel on Unsplash ■バガヴァッド・ギーター / 上村勝彦 バガヴァッド・ギーター (岩波文庫)発売日: 1992/03/16メディア: 文庫 ヒンドゥー教の聖典となるものは複数ありますが、全部読むわけにもいかないので、叙事詩『マハーバーラタ』の…

インドの事をあれこれ勉強してみた (その1)

Photo by Sylwia Bartyzel on Unsplash ■ヒンドゥー教ってなんだろう?という部分から始めてみた インド映画はとても面白いし、目も彩なインドの文化もそれはそれで楽しいのですが、実の所自分はインドについてまるで知りません。もちろんヒンディー語を始め…