インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

最近観たインド(関連)映画3作

■ホテル・ムンバイ(監督:アンソニー・マラス 2018年オーストラリア・アメリカ・インド映画)

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映画『ホテル・ムンバイ』は2008年、インドの都市ムンバイで実際に起きたイスラム過激派による「ムンバイ同時多発テロ」を描いたものである。死者171人、負傷者284人を出したこのテロ事件は、インドでも未曾有の大惨事として記憶されている。

映画はこのテロ事件に見舞われたインドを代表する5つ星ホテル、ホテル・ムンバイを舞台にして描かれる。観ていてまず驚かされたのは犯人グループの情け容赦ない無差別殺戮を克明に描いていることだ。犯人たちは発見した客たちを問答無用に次々と射殺してゆき、ホテル内は屍累々たる地獄絵図と化すのだ。

そんな中、ホテル従業員たちは宿泊客に隠れ場所を提供し、脱出の手段を練る。実話とはいえ、この辺りのサスペンスが凄まじい。さらにこの事件においては、制圧部隊がムンバイ内に存在せず、遠くデリーからやってこなければならなかった、という事情がなおさらに絶望感を生む。ハリウッド映画のように特殊部隊が電撃突入!というわけには行かなかったのだ。だからこそ、ホテル従業員たちの決死の行動がクローズアップされ、そこでドラマを生んでいるのだ。

それにしてもインド映画でもここまで凄惨な描写が可能なのか、と思ったら実際はオーストラリア・アメリカ・インド合作映画で、監督もオーストラリア人だった。主演を『LION ライオン 25年目のただいま』『スラムドッグ$ミリオネア』のデブ・パテルが演じるが、インド映画界からも名優アヌパム・ケールが重要な役割で登場し、非常に強い存在感を感じさせた。ある意味もう一人の主役は彼だったんじゃないかとすら思わせた。

 

ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル (監督:チャック・ラッセル 2019年インド映画)

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「象の密猟者は俺が成敗する!」という作品で、トニー・ジャー主演のタイ映画『トム・ヤン・クン!』を一瞬連想するが、これはあくまでインド映画。しかし監督は『ブロブ/宇宙からの不明物体』『マスク』『イレイザー』のチャック・ラッセル、主人公はインド武術カラリパヤットを操るイケメン獣医、という微妙にカオスな作品でもある。とはいえ「父と子の絆/対立」をメインドラマに持って来るインド映画的な展開と、それと対照的なマッスルアクションの炸裂具合には大いに楽しめた。なにしろ主演のヴィドゥユト・ジャームワール(映画『Commando』シリーズに出演あり)の筋肉美がいい。もちろんインド武術の動きも美しかった。マスクも甘いし、インドアクション俳優としてはタイガー・シュロフと同じぐらい人気が出てもいいんではないかと思ったがな。

 

ラクシュミー 女神転聖 (監督:パラム・ギル 2016年インド映画)

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レイプ未遂に遭った少女が護身のためにクンフーを身に付け、成人となって悪と対峙する! という一見面白そうな題材の映画なのだが、いやこれが箸にも棒にもかからないグダグダ作で・・・・・・。なにしろ中盤は主人公女子ととっちゃん坊やみたいな主演男優とのダラダラしたラブロマンスを延々見せられアクションのアの字も無いまま進んでいき、その後「星占いを無視して結婚した私たちに災いが!?」という謎のオカルト展開を迎え(ただし冥界の使者役でオーム・プリーが出演していてびっくり!)、やっと終盤アクションになだれ込んだかと思ったらこれがもうしょぼくてしょぼくて・・・・・・という作品で、インド映画って他にも沢山あるのになんでわざわざこの映画買い付けてきた!?と販売元を小一時間ぐらい問い詰めたい気分になった。一応「『マハーバーラタ』におけるサヴィトリとサティアヴァンの物語を現代に置き換えた作品」なのらしい。