インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

お犬様の相続した遺産を狙え!?〜映画『Entertainment』

■Entertainment (監督:サージド-ファルハド 2014年インド映画)


「その遺産は俺のものだ!」億万長者が飼い犬に残した莫大な遺産を巡り、億万長者の息子と悪者たちが右に左に大騒ぎを繰り広げちゃう!というコメディ映画です。主演はアクシャイ・クマール、監督は『Singham』『Bol Bachchan』『チェンナイ・エクスプレス 愛と勇気のヒーロー参上』の脚本担当で今回が初監督となるサージドとファルハド。ちなみにタイトルの「Entertainment」は遺産を受け継いだお犬様の名前です!

その日暮らしのお気楽男アキル(アクシャイ・クマール)はある日、自分の本当の素性がバンコクに住む億万長者の息子だということを知ってしまいます。しかもその大金持ちが先日亡くなったことも!「やった!俺は明日から大金持ちだ!」葬儀に駆けつけ素性を明かし、さて遺産は自分のもの…と思っていたアキルでしたが、その遺産が実は億万長者の飼い犬「エンターティンメント」に残さたことを知り大パニック!しかも億万長者のまたいとこである悪党兄弟もまた遺産を狙っていたため、お話は思わぬ方向に向かっていくんです!

アクシャイ・クマール演じるアキルはお犬様を亡き者にして遺産を自分のものに!とあれやこれやの悪巧みを講じますが、なぜかお犬様のほうが一枚上手でどんな企みもあっさり見抜かれ、そればかりか自分で仕掛けた罠に自分が引っ掛かり酷い目に遭ったりしています。お犬様が大変賢いせいもあるんですが、犬すらも見抜ける罠しか思いつかず、その犬すらも引っ掛からない罠に引っ掛かるアキル…お前は犬以下かよ!?…とまあ前半はことごとくお犬様に出し抜かれ、煮え湯を飲まされるアキルの七転八倒ぶりに大いに笑わされるんですね。

お犬様の遺産を狙うのはアキルだけではありません。遺産を狙い脱獄してきた二人の男、アルジュンとカラン。この悪党二人をなんと、『ダバング』1、2作でそれぞれ悪党を演じたソーヌー・スードとプラカーシュ・ラージが演じてます。もうこの二人をコンビの悪党で登場させ、そして二人があれやこれやと掛け合いしている様子を見られるって時点で、この映画は既に必見になっているではありませんか!?いやああまりにズルイ配役だなあ!しかもコメディなだけにこの二人、微妙にマヌケなキャラ設定になっているのがまた可笑しいんですよ。

しかし、物語中盤で起こったあることをきっかけに、アキルはお犬様の味方となり、まんまと遺産を手に入れた悪党どもを倒すために立ち上がります。なんとお犬様軍団まで登場し、悪党どもをてんてこ舞いに陥れる様などは痛快ですね。ここでアキルの取った戦法は決して実力行使ではなく、口八丁手八丁で悪党どもを攪乱する、なんて部分がインド・コメディらしい安定の展開なんですね。今回のアクシャイ・クマールは実に当たり所の役柄だったし、お犬様も可愛らしかった。お話自体は非常に他愛のないものだし、特に深みがあるわけでもないのですが、逆にとても気楽に観られてスカッと笑える、そんな軽快さが楽しさに繋がる良作でした。