インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

ダンス・カンパニーに燃え上がる恋/シャー・ルク・カーン主演作『Dil To Pagal Hai』

■Dil To Pagal Hai (監督:ヤシュ・チョプラ 1997年インド映画)


ダンス・カンパニーを舞台にそのディレクターとダンサーが「真実の愛」に目覚めるまでを描くシャー・ルク・カーン、マードゥリー・ディークシト主演のラブ・ロマンス作品です。また、アクシャイ・クマールがゲスト出演しています。監督はヒンディー映画界の大監督ヤシュ・チョプラ。

物語の主人公であるダンス・カンパニーのプロデューサー、ラーホール(シャールク)はダンサーのニシャー(カリシュマー・カプール)と交際していましたが、彼女は骨折してしまい、代役を立てることになります。その新しいダンサー、プージャー(マードゥリー)にラーホールは恋してしまいますが、彼女にはアジャイ(アクシャイ)という婚約者がいた、という展開なんですね。要するに交際相手のいる者同士が別の相手に気が移っちゃう、というお話です。

さてダンス・カンパニーが舞台だということでダンス・シーンがふんだんに盛り込まれてはいるんですが、これがなんといいますか、どうも古臭くてセンスが悪い。いわゆるジャズ・ダンスなんですが、なんかもう「円ショップ武富士」状態なんですよ。コレオグラファーは監督としても有名なファラー・カーンと、あとシアマク・ダヴァルという方が担当だということですが、大勢がカニ歩きしながら手足パタパタさせるのって、1997年当時は斬新だったのかしらん。

お話のほうも「人は沢山の恋をするけれど真実の愛は一つだけさ!」みたいなかっこいいこと言ってますが、いや単に目移りしただけだろー?別の女性に乗り換えただけじゃんかよー?としか思えなくて、いまいち盛り上がらないんだよな。それとこの作品でのシャールク、出演時は30代になったばかりの頃ということもあってか、なんだかガサツで小生意気で結構ウザイです。イタズラ好きという性格設定らしいのですが見ていてなんとなくイラッとさせられます。でも劇中かなり器用にドラムを演奏するシーンがあり、これはなんだか意外でした。

それに対してマードゥリー・ディークシト、これが素晴らしい。時代を感じさせない美人女優であったり踊りが達者だったりというだけでなく、ああこの人演技が上手いなあ、と感じさせてくれるですよ。マードゥリーの作品は殆ど観たことはないのですが、いかにも女性的なヒロインの役柄ばかりだけではなく、本当はいろんな役柄をこなせられる女優なんじゃないかと思いましたね。このマードゥリーに若き日のシャールクがからむと、なんだか綺麗なお姉さんが悪ガキに困らされているようにしか見えないのもちょっとナニだったなあ。

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