インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

俺とお前は双子の兄弟!? / 映画『Judwaa 2』

■Judwaa 2 (監督:ダヴィド・ダワン 2017年インド映画)

f:id:globalhead:20180227194135j:plain

死んだと思っていた双子の兄は生きていた!?そこから始まるハチャメチャな大騒動を描いたコメディ映画『Judwaa 2』であります。主演はヴァルン・ダワン、ジャクリーン・フェルナンデス、タープスィー・パンヌー。監督はヴァルン・ダワンのお父様ダヴィド・ダワン。この親子で『Main Tera Hero』という作品もありましたな。ちなみに1作目『Judwaa』(1997)はサルマーン・カーン主演で同監督により製作されておりますが、こちらのほうは未見です。

《物語》ムンバイに住むランジーヴ・マルホトラは双子の息子を授かるが、病院にやってきた悪党に息子の一人を誘拐され、警察との捕り物の最中その幼子は死んだものとみなされてしまう。その後マルホトラ家はロンドンに移り住み、残された双子の弟であるプレーム(ヴァルン・ダワン)は大学生にまで成長していた。一方、死んだと思われていた双子の兄は実は生きており、ラージャー(ヴァルン・ダワン:二役)と名付けられたその青年はムンバイでやんちゃ三昧で生活していた。しかしラージャーは地元のギャングとイザコザを起こし、ロンドンに旅立つことになる。さて、ロンドンですれ違い続ける双子二人は、あちこちでおかしな目に遭うことになるのだが!?

はい。インド映画お得意の【一人二役ストーリー】です。インド映画では同じ顔をした二人の人物が登場してしっちゃかめっちゃかになってしまう、あるいは巧妙な犯罪を繰り広げる、という物語があまりにも多く、これだけで【ダブルロール(一人二役)・ジャンル】とでも名付けてしまいたくなるほどですが、お手軽な手法とはいえこれが結構傑作が多いんですね。今回も「またかよ!?」と思いつつ、大いに楽しませてもらいました。

今回ヴァルン・ダワンが一人二役を演じるラージャーとプレームはお約束のように一方がやんちゃな一般庶民、一方がお金持ちのお坊ちゃま、ということになっていて、それだけならよくある設定なんですね。しかし今作では二人にある特殊能力が存在することになっていて、それが物語のハチャメチャ度を高めています。それは、時々二人の行動がシンクロしてしまうことなんですね!例えばラージャが目の前のチンピラを殴りつけると、違う場所にいるプレームもなんだか分からず目の前の人を殴りつけてしまう!?ラージャが可愛い子にキスするとプレームも自動的に目の前にいるオバサマにチューしてしまう!?これでは大騒動にならない訳がありません!

双子に不思議なシンクロニシティがあることはよく言われる事ですが、この物語では行動までがシンクロナイズドしてしまうんです。いくらなんでも全ての行動がなにもかもシンクロしてしまったらまともな生活なんか送れませんが、この物語ではここぞというアクションだけがシンクロしてしまうもんだから都合よすぎ!しかし、だからこそ面白い物語になっているから全然許す!(この辺の"ある時だけシンクロ"は映画で理由付けられていたものを、自分は字幕を見落として分かってないだけなのかもしれません)

ラージャーとプレームはお互いの双子の兄弟が同じ町にいるとは知りませんから、お互いの行動が、彼らを同一人物だと思っている第三者にとって毎回ちぐはぐになってしまい、ここでまた大騒動が巻き起こります。ラージャーにはアリシュカ(ジャクリーン・フェルナンデス)という恋人が、プレームにはサマーラ(タープスィー・パンヌー)という恋人ができるのですが、その時々で態度の違う恋人に怒り心頭、交際の危機にまで発展してしまいます!今作のジャクリーン・フェルナンデスはいつものようにゴージャスで大いに目の保養になりました。一方タープスィー・パンヌーは『Baby』(2015)、『Pink』(2016)、『Naam Shabana』(2017)とオレはシリアス作品ばかり観ていたので、コメディでの演技が新鮮でした。

脇を固めるアヌパム・ケールの演技は安定の楽しさでしたが、あのジャガイモ顔のコメディ俳優、ジョニー・リーヴァルの出演はとても嬉しかったですね。さらに、とんでもないカメオ出演もあるのでお楽しみに。作品では様々なインド映画オマージュが散りばめられており、全部が分かったわけではないんですけれども、個人的には『銃弾の饗宴-ラームとリーラ-』や今話題沸騰の『バーフバリ』ネタが飛び出した時には結構盛り上がりましたよ。