インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

ラジニカーント主演作『帝王カバーリ』を観た

帝王カバーリ[原題:Kabali] (監督:パ・ランジット 2016年インド映画※タミル語)

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マラッカ監獄から25年の服役を終えた60歳のカバーリが出所する。マレーシア・タミル人三世のこの男、ギャングながら人々からの信望が厚い。しかし出所と同時に彼の命を付け狙う勢力も始動する。(SIFFJ HPより)

出演:ラジニカーント、ラーディカー・アプテー、ウィンストン・チャオ

2016年に公開されたスーパースター・ラジニカーントの最新作『帝王カバーリ』です。前情報なしで「いつもの楽しいラジニ映画」を想像して観に行ったらこれがビックリ、なんと熾烈なマフィア抗争を題材としたガチなノワール作品だったんですね。とはいえラジニの役どころは"非合法活動をしているが民衆の味方"であって決して悪漢という事ではありません。

物語はマフィア映画らしく抗争や裏切りが描かれ、この辺は銃撃戦やらなんやらで定番通りなんですが、ここに「25年の服役の間に失われた妻と娘」という家族テーマが加味されることで独自のドラマとなっています。マフィア映画でよく描かれる"ファミリー"と、インド映画でよく描かれる”家族愛”がマッチングしているんですね。

タミル語映画なんですが綺麗に整頓されたシリアスな演出はボリウッド映画的で、ラジニカーントの渋く抑えた演技はボリウッド映画の帝王アミターブ・バッチャンをついつい連想してしまいました。

このラジニ映画らしからぬシリアスさが新鮮に感じましたが、逆に賑やかなラジニ映画を想像して観ようとすると肩透かしを食うかもしれません。オレ的には「これはこれでいんじゃない?」と思いましたけどね。それとマレーシア移民のテルグ人による苦闘の歴史の一端が垣間見える部分が興味深かったですね。