インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

タイガー・シュロフはボンクラ・インド映画ファンの救世主となるか~映画『Munna Michael』

■Munna Michael (監督:サッビール・カーン 2017年インド映画)

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《目次》

 インドのアクション・ダンス映画『Munna Michael』登場!

ヤツの名はムンナ(タイガー・シュロフ)、滅法喧嘩に強い彼は同時に超絶的なダンス・センスも兼ね備えていた。ある日そんなムンナにギャングのボス、マヒンドラ(ナワーズッディーン・シッディーキー)が声を掛ける。喧嘩の腕を買われたか、と思ったら大間違い、なんとマヒンドラムンナにダンスを教えてほしいという!?ダンスを通じてダチとなったムンナマヒンドラはあることを打ち明ける。彼はクラブ・ダンサーのドリー(ニディ・アゲーワル)を愛しており、恋の懸け橋になって欲しいという。こうしてムンナはドリーに近付くが、そこで思わぬ番狂わせが待っていた!

2017年公開のインド映画『Munna Michael』はダンスを通じてギャングのボスと義兄弟になってしまう主人公を描いたアクション映画だ。主演は我らがヒーロー、タイガー・シュロフ!(なんと彼は2018年公開予定のハリウッド映画『ランボー』リメイクの主演に堂々ボリウッド映画界から抜擢されたというアナウンスが!さらにインドで公開された『スパイダーマン:ホームカミング』の吹き替え声優も彼がこなしている)

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そして共演にインドの名俳優ナワーズッディーン・シッディーキー!

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ヒロインを演じるニディ・アゲーワルはモデル出身の超美人ちゃんだ!

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さらに監督は『Heropanti』(2014)、『Baaghi 』(2016)とタイガー・シュロフ映画でコンビを組んできたサッビール・カーンとくればこれはもう面白さは保証付きだ!

シックスパックの暴れ者ダンサー、タイガー・シュロフ!

この『Munna Michael』、アクションをこなしたら現在ボリウッド映画界で右に出る者のいない男タイガーが、その抜群の身体性能でもってキレッキレのボリウッド・ダンスも踊っちゃう!という一粒で二度おいしい作品になっている。もともとタイガーはダンスも素晴らしい俳優だったが、この作品ではそれが「ダンス大会への出場」という形で大きくフィーチャーされているというわけだ。引き締まったシックスパックの腹筋にモノを言わせバッキバキに踊るタイガーに君も惚れるがいい!!


Main Hoon HD video song in Munna Michael latest upcoming movie of TIGER SHEROF

そして今作をタイガーの腹筋以上に引き締めているのがナワーズッディーン・シッディーキーの名演だ。血も涙もないギャングのボスと思わせながらダンス好きという意外な面を見せ、主人公ムンナと特訓しながら拙いダンスを踊るマヒンドラのキャラはコミカルであると同時に人間味溢れたものとして観客に受け入れられるだろう。こういった二面性を持つ複雑なキャラを深みがあり説得力のあるものとして演じることができるのがナワーズッディーンの素晴らしさだ。シャー・ルク・カーンと共演した『ライース』でも思ったが、彼の名演が映画の面白さを3割4割と底上げしてるのだ。

タイガー・シュロフはボンクラ・インド映画ファンの救世主となるか

「冴え渡ったアクション」「キレッキレのダンス」「美麗なヒロイン」「個性的な脇役」「シンプルで分かり易いストーリー」と面白さ要素満載の映画『Munna Michael』だが、実を言うと本国インドで興行成績や評価が芳しくないと知って驚いた。さらに言うと、IMDbによるタイガー・シュロフ映画評価はすこぶる悪い。

IMDbによるタイガー・シュロフ映画評価
Heropanti (2014) 5.4/10
Baaghi (2016) 5.2/10
A Flying Jatt (2016) 3.5/10
Munna Michael (2017) 3.3/10

実の所他人の評価などどうでもいいのだが、これを見て分かるのはタイガー・シュロフ映画の完成度の低さではなくIMDbというのがいかに見る目の無い連中が寄せ集まっている役立たずのサイトであるかという事実だけである。

これらタイガー・シュロフ映画をオレなりに点数をつけるとするとこうなる。

オレのタイガー・シュロフ映画評価

Heropanti 7/10
Baaghi 9/10
A Flying Jatt 9.5/10
Munna Michael 8/10

いずれも高得点であり、タイガー・シュロフ映画がいかに優れ楽しめるものであるか的確な評価を下していると自負している。すなわちタイガー・シュロフ映画は観るべき映画のみであり、インド映画をこれから観ようとしている方は是非タイガー・シュロフ映画に触れてほしいと思うのである。

もう少し客観的に書くと、タイガー・シュロフの映画評価が低いのは多分、「アナクロである」「知的でない」「観終った後何も残らない」ということなのだろうという気がする。

例えば「アナクロ」ということであれば、確かに「歌って踊ってばかり」で「主人公が神がかりに強いアクション」という映画はボリウッド映画では減っているように思える。これらは「古臭い」スタイルであり、現在のボリウッドのメインストリームではないのだろう(しかし一方、タミル映画ではこれらのスタイルが今でも十分尊重されているように感じる。タミル映画詳しくないから断言できないが)。

けどさ、極東に住む「なんちゃってインド映画ファン」の一人としては、これら要素はむしろ大いに歓迎したいんだよ!もっと歌って踊って欲しいし、もっとガッツンガッツンアクションして欲しいんだよ!アナクロでも知的でなくても観終って何も残んなくても全然構わないんだよ!こういう映画を日本では「ボンクラ映画」という呼び方をしたけど(もう死語なのか?)、オレはインド映画はボンクラでも十分だし、むしろボンクラであってほしいんだよ!なぜならオレは「ボンクラ映画」が大好きだからだよ!

そんな意味では「ボンクラ映画」の王道を孤高に突き進むタイガー・シュロフ映画はこれからもボンクラであってほしいしもちろんオレは観つづけるし応援し続けたいんだよ。だからタイガー・シュロフの名はもっと広まって欲しいし人気が出てほしいし、映画もガンガン作られて沢山の人が楽しんでほしんだ。タイガー・シュロフは、ボンクラ・インド映画ファンの救世主なんだよ。

『Munna Michael』予告編

見よ!タイガー・シュロフの華麗なるフィルモグラフィーを!