インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

お化けが出てきて大わらわ!~映画『Golmaal Again』

■Golmaal Again (監督:ローヒト・シェッティ 2017年インド映画)

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「インド映画上映会」2回目、ヴィジャイの次はアジャイの登場です。そう、『Singham』(2011)、『Singham Returns』(2014)の暴れ者俳優アジャイ・デーヴガンの主演作です。監督は先の『Singham』『Singham Returns』の他『チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~』(2013)『勇者は再び巡り会う』(2015)を撮ったローヒト・シェッティー。いやーこの監督意外と好きなんですよ。共演は『Haider』 (2014) 『Jai Ho』(2014)『Drishyam』 (2015) のタッブー、そして最近IFFJで公開された『僕の可愛いビンドゥ』(2017)のパリニーティ・チョープラー。

さてこの『Golmaal Again』、『Golmaal: Fun Unlimited』(2006) 『Golmaal Returns』(2008) 『Golmaal 3』(2010)と続いた「Golmaalシリーズ」の4作目となります。でもシリーズの他の作品って観てないんですよ。観てない、というか1作目『Golmaal』にはチャレンジしてみたんですが、あまりにつまんなくて観るの止めちゃったんですけどね!作品の出来不出来ではなくオレの字幕読解能力が低くて面白さが伝わらなかったんだと思います。シリーズとはいえ連続性が無くこの作品だけ観ても問題ないでしょう。

映画はあたかもカーニバルを思わせるような派手派手しく実の所無意味すぎるオープニングで幕を開けます。しかしこの無意味な派手派手しさがひたすら素晴らしい!そして南インド映画もかくやと思わせるアクション・シーン!いやあ『ダバング』を思い出すわ(感涙)!この「Golmaalシリーズ」、実は「お馬鹿コメディ」なんですが、「これからとてつもなくお馬鹿なお話が始まるよー!」と宣言しているみたいな楽しさで一杯なんですね。いいよねお馬鹿コメディ!インドのお馬鹿コメディというと『Housefull』シリーズや『Masti』シリーズなんてェのがありますが、もうホント馬鹿で下らなくておまけにお下劣で、オレの品性にぴったりフィットした良作だらけですね!

お話はというとアジャイ扮するゴーパルを始めとする5人のチンピラが主役となります(ちなみにタイトル『Golmaal』はこの5人の頭文字「Go(ゴーパル)」「L(ラッキー)」「Ma(マーダヴ)」「L(ラクシュマン1、2)」を繋げたものなのだとか)。で、彼らはそれぞれ孤児で、かつて生活していた孤児院に再び戻ってくるんですね。しかしその孤児院には幽霊が出現し、お化け嫌いのゴパールは大パニック!それと同時に孤児院には地上げ話が持ち上がっており、実は幽霊はそれに関わっているらしいのです。

「幽霊+お馬鹿コメディ」というと『Great Grand Masti』(2016)というとてつもなくお下劣なお馬鹿映画がありましたが、あちらが下ネタ中心ならこちらの『Golmaal Again』はもっとドリフ的なシンプルで分かり易いドタバタが展開しており、老若男女楽しめるセンスを持っていました。滅法喧嘩に強い強面男アジャイ・デーヴガンが「お化けコワイ!」と身も世もなく大騒ぎする様がとても可笑しくて、もうこの設定だけで成功したようなもの。というかアジャイさん、あんたの三白眼も十分怖いよ!

物語はこんなドタバタだけではなく、地上げにまつわる悪い奴らが背後に蠢いおり、単なるコメディで終わっていない部分が作品に膨らみを持たせているんですね。そしてこの「悪い奴」のナンバーワンを演じるのがなんとプラカーシュ・ラージ!そりゃまあ沢山の作品でワルモノ演じる彼ですけど、オレにとっては『ダバング』の大悪党でキマリです!オレこの人が悪党で出て来るだけで嬉しくなるもんなあ。実はそんなプラカーシュさんのダンスシーンもあってこれがまた見もの!その他作品には書き切れないぐらいのインド映画名脇役が登場するのでお得感満載ですね!

そしてタッブーとパリニーティ・チョープラーの出演もまた嬉しかったですね。タッブーは役割柄、堅い表情ばかりでしたが、それでもその存在感は与太者総出演の作品をピリッと引き締めていたように思います。そしてパリニーティ・チョープラー、この間『ビンドゥ』観たばかりなのにこんなに早く彼女に会えるなんて嬉しさもひとしおです。彼女の気の置けないキュートさもまた作品を大いに和やかにしていました。あーこの子もっとブレイクしてほしいなあ。

さてそんなお馬鹿コメディ『Golmaal Again』ですが、どうせお馬鹿映画なんだしと思って相当ダラーーンとしながら観ていた(あまりにもダラーーンとしすぎて字幕もろくに読んでいなかった)んですが、意外や意外!後半からの畳み掛けるような怒涛のストーリー展開がハートを鷲掴みです!併せてVFXにも結構力が入っており「お馬鹿」ではあっても決して安っぽい出来ではないのですよ。この作品は「今年のインド・コメディの試金石になる」みたいなことをポポッポーさんもおっしゃってましたが、大ヒットしてこれからのボリウッド大コメディ時代へと繋がればいいなあ、と一人のお馬鹿映画ファンとして思いましたよ。