インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

インド/タミルのクライム・コメディー『キケンな誘拐/ SOODHU KAVVUM』を観た

キケンな誘拐/ SOODHU KAVVUM (監督:ナラン・クマラサーミ)

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<あらすじ>セーカル、ケサヴァン、パガラヴァンの失業3人組は、酒場で出会った小銭稼ぎの誘拐犯ダースから仲間に誘われる。彼独特の『誘拐のルール』をレクチャーされた3人は迷いながらも彼に同行、チームは次々と身代金目当ての誘拐を成功させてゆく。そこへある日、突如として舞い込んだ一発大逆転の儲け話。そのミッションが『誘拐のルール・その1』に反すると知りつつも、勢いで引き受けてしまった彼らは、案の定とんでもないトラブルに巻き込まれることになる。出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、サンチター・シェッティ、カルナーカラン
(2013年/タミル語 / 127分)

成り行きで誘拐犯になっちゃったボンクラ3人組を描くクライムコメディーです。犯罪者が最初の計画から逸脱して次第にのっぴきならない方向へと進んでゆく、という犯罪ドラマのセオリーを踏襲しつつ、これを暗く陰惨な方向ではなくコメディー作品として仕上げているところに面白さがありました。

まずなにしろ予想の付かない方向へとどんどん迷走してゆくシナリオがとても素晴らしいんですよ。誘拐計画が二転三転し、なんとかしのいだと思ったらまたまた思わぬ危機が勃発し、と全く予断を許しません。ボンクラ3人のボスとなる男がまたまた強烈な個性の持ち主で、この人、なんといつも妄想のカノジョをはべらせています。しかもそれを周囲に公言しています。なんだか訳が分からないんですが、男ばかりのむさ苦しい犯罪ドラマに華やかさを持ち込んでいるので、あながち無意味でもないんです。

強烈なのが彼らを追う凶悪な暴力警官の登場です。暴力警官が正義の鉄拳を振るう!というインド映画は数ありますが、この作品では「そもそも暴力警官なんて悪だよ」とある意味当たり前のことをつらっと描いちゃってるところが逆転の発想でした。さらに物語は誘拐犯たちの犯罪だけではなく政界の汚濁ぶりまでも描いており、これらを含めたブラックな展開にまたもやシナリオの練り込みぶりを見せつけられましたね。 

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  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: DVD