インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

アーミル・カーンとサルマーン・カーンが共演したカルト・ボンクラ・コメディ『Andaz Apna Apna』【インド・コメディ小特集】

■Andaz Apna Apna (監督:ラージクマール・サントーシー 1994年インド映画)


きっと、うまくいく』のアーミル・カーンと『ダバング 大胆不敵』のサルマーン・カーンが共演していた!?共演していただけではなくメッチャアホアホなお話だった!?という1994年公開のインド映画です。この時二人はギリギリ20代、その分ハッチャケまくってます。というかハッチャケ過ぎで観ていて途中で頭痛がしてきます。ヒロインはラヴィーナ・タンダンとカリシュマー・カプール。このカリシュマーさんはカリーナ・カプールの姉なんですね。監督はラージクマール・サントーシー。

《お話》毎日のんべんだらりと生きるプレム(サルマーン・カーン)とアマル(アーミル・カーン)は楽して金持ちになりたいと考えているしょうもないボンクラ青年二人組だった。ある日二人はロンドンから富豪の娘がやってくると聞いて色めき立つ。しかもその娘ラビーナ(ラヴィーナ・タンダン)は婿探しの最中だというではないか。「うひょひょ!これはほっとく手はないって!」濡れ手で粟を狙う大バカ二人は速攻で彼女に近づき「ラブゲット大作戦」を展開。アマルは記憶喪失を装いラビーナの同情を惹こうとする。しかしプレムは「そういやオレこいつのライバルやん!?」とやっと気づき、医者に扮してアマルを追い出そうと画策していた!?

いや〜とことんアホの限り尽くしたコメディ映画でした。今や押しも押されぬインド映画大スターであるアーミルさんとサルマーンさんが、若さの勢いというか若気の至りというかひたすら暴走してくれるんですよ。アーミルさんは事あるごとに吉本興業のお笑いみたいなアホの子の顔してるし、妙に後ろ髪の長いサルマーンさんはイイ男ぶりながらもなんだかインチキ臭いし(あ…それはいつものことか…)、そんな二人がイチャイチャするわ殴り合うわ、挙句の果てに怪しいアラブ富豪の扮装でバカ殿みたいな甲高い声で喋りだした日にゃあ、いつ「アイ〜ン」と言い出すかと観ていて気が気ではありませんでしたよ。サルマーンさんの下痢ネタとかね、もう今じゃ考えられないっすよ!?

アホアホなのはアーミルさんとサルマーンさんだけではありません。ラビーナの財産を狙うギャング一味が登場するんですが、こいつらお約束のようにひたすら頭が悪いうえに、そのうちの一人は縦からみても横から見ても上島竜兵そっくりです。実は本当に上島竜兵だったんじゃないのかとすら思ってます。さらにはクライム・マスター・ゴーゴーとかいう意味不明のマント野郎が現れ物語を引っ掻き回してゆきます。なんだったんだこいつ?インドじゃ有名なのか?インド映画恒例の歌と踊りのシーンもあることはあるんですが、こんなお話なので情緒もへったくれもなく、なんと音楽はタテノリだし踊りもおふざけのし放題。こんな感じで徹頭徹尾しょーもないナンセンスなスラップスティック劇となっているんです。

今までインドのコメディ映画にはいろいろ楽しませてもらいましたが、非常に練られたシナリオを持ちそのシチュエーションの妙で笑わせるもの、ひたすら下品に徹してそのサイテーなセンスで笑わせるものと様々です。そんななかでこの『Andaz Apna Apna』はどことなくシュールさを感じさせるんですよ。「金持ち娘を狙う二人のボンクラ男」という大まかな話の流れが最初にあり、その中にいかに多くハチャメチャなシーンを詰め込めるかで勝負しているようなんですが、その詰め込むものが何でもアリなんですね。従来のインド・コメディがストーリーもきちんと見せる喜劇だとすると、この作品は刹那刹那の可笑しさをとことん突き詰めるコントなんじゃないかと思うんです。

こういった従来的でない笑いのセンスから、この作品は公開時ヒットしなかったのですが、公開終了後に徐々に人気を高めてゆき、今ではテレビやビデオレンタルで人気の高い作品のひとつになっているのだとか。こういったカルト的な人気を得て、2014年には続編製作の発表までされましたが、アーミルさんとサルマーンさんが再出演するのかはちょっと謎ですね。

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