インド映画を巡る冒険(仮)

以前メインのブログに書いたインド映画記事のアーカイヴです。当時書いたまま直さず転載しておりますので、誤記等ありましてもご容赦ください。

ターバン巻いたシクのおっさんが(再び)大暴れ!?〜映画『Singh Is Bling』

■Singh Is Bling (監督:プラブーデーヴァ 2015年インド映画)


誰が頼んだわけでもないのに、ターバン巻いた憎いあんちきしょうが帰ってきた!?アクシャイ・クマール、エイミー・ジャクソン主演の『Singh Is Bling』は、2008年に公開された『Singh Is Kinng』のリメイクとなるらしいが、お話は全然別モノ、単にアホアホなシク教徒がトンチンカンの限りを尽くすという非常に困ったコメディ映画である。監督はダンス映画『ABCD』『ABCD2』、アクション映画『R...Rajkumar』『Rowdy Rathore』のプラブーデーヴァだが、『Action Jackson』というとてもしょーもない大バカアクションも撮っているのだ。そして今回の『Singh Is Bling』、↑のポスターを見て理解できるように、やる気満々のしょーもなさを狙っているようなのである。だいたいなんなんだあのキャプテン・アメリカのバッタもんみたいなキャラは!?しかも映画にこんなコスチュームなんか出てきやしなかったぞ!?

《物語》シク教徒の主人公ラフタール(アクシャイ・クマール)は今日もパンジャーブの農村でのんべんだらりと過ごしていた。父親はそんな彼を見兼ね「結婚するか働くかどっちかにしろ!」と叱り飛ばす。「結婚ってあのおデブちゃんな娘なんだよなあ…嫌だよなあ…」とラフタール、渋々ゴアにいる父の知り合いの元で仕事をすることになる。さてその仕事というのがルーマニアからやってきたサラ(エイミー・ジャクソン)という女性の母親探しをするというもの。セクシーダイナマイツなサラに一目惚れするラフタールだったが、サラは英語しか話せず、インド人のラフタールと会話が通じない。通訳を雇うものの、いつも何故だかトンチンカンなことに。そしてラフタールは知らなかった、サラが実はマフィアの娘で、さらにとんでもない格闘家であり、しかもマフィアの男に結婚を迫られていることを。

とまあそんなお話なんだが、いやあ……ユルい……どこまでもひたすらユルい...…スイカとビールをダブルで飲食した翌朝のお腹のようにユルい作品なのである。まあね、監督のプラブーデーヴァ、意外とやる時はやる男だからね……(ユルい演出を)。動物園で仕事を見つけたラフタールがライオンを逃がしてしまい、代わりに犬の首にモフモフを付けてライオンと偽ってみたりとか、車を発進する時いつもバックに入れて後ろにいる人間が怪我したりとか、通訳が毎回意味の違うことを通訳してみたりとか、「それって面白いのか…...」とグッタリさせられるギャグが連発されるのである。「いったいどうしたらいいんだろう…...」と思ってしまう訳である。あとヒロイン役のエイミー・ジャクソンな。モデル顔の綺麗な顔はしているが、モデル顔が祟って表情に乏しく魅力を感じないのだ。

とはいえ、そのエイミー・ジャクソン演じるヒロインが悪漢どもをぶちのめすという結構派手なアクションが入ってから「お、いつものプラブーデーヴァ節が戻ってきたな」と段々光明が差してくる。さらに今回のアクシャイがどうしようもないヘタレで、悪漢にボコボコにされちゃうんだが、そこをヒロインがこっそり助太刀するなんていうシーンがいい。後半ではラーラー・ダッタ演じる通訳のエミリーが怪しい方向にトチ狂い始め、これがまた訳が分からなくて楽しい。主人公とヒロインの言葉が通じないといった設定も物語の展開を面白くしている。なんだプラブーデーヴァ、やれば出来る子じゃないか(上から目線)。出だしはトロ臭かったが後半に行くにつれいい湯加減になってくる。そしてクライマックスは大アクション大会、ポスターで期待したほどハッチャケた作品ではなかったが、十分満足できる出来だった。いってみれば古いタイプのインド映画なんだが、こういった作品もコンスタントに作ってもらうとやっぱり嬉しいね。